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井の中の蛙フィリピンを知る(フィリピンAIMS留学)

  • 執筆者の写真: tuatstudyabroad
    tuatstudyabroad
  • 2020年2月21日
  • 読了時間: 7分

更新日:2020年4月24日


農工大留学

初めまして。保坂です。「フィリピン留学」といえば語学留学や最近ではIT留学の広告でおなじみのワードかもしれませんが,農工大が提供しているAIMSプログラムのフィリピン留学は実際に現地の大学(農学林学では国内トップ!)で現地の学生たちと専門科目の授業を受けられるという点で珍しいのではないかと思います。この記事ではそんなフィリピン留学を経験し,いかに自分が日本で思い込みで生きてきたかを知ったよ,という話をお伝えできたらなと思っています。


プロフィール

名前: 保坂

学科学年(派遣時):環境資源科学科3年

派遣国・大学: University of the Philippines Los Baños (UPLB)

留学期間: 2018年8月~12月

フィリピンへ留学を決めた理由

正直大学に入学したころの私には東南アジアへ学びに行くという選択肢はなかったし、興味もありませんでした。そんな私がこの地域へ留学を決意したのは過去にAIMS生として農工大へやってきた各国の留学生に刺激を受けたからです。彼らは将来へのビジョンがしっかりあって自分の国にはこんな問題があるからこんな事業を立ち上げて問題解決したい、という話までしてくれる学生もいました。彼らと交流していくうちにASEAN(東南アジア)という地域には日本にはない若者のエネルギー(なんていうと日本の熱い学生たちに怒られそう、、、)があると感じ,彼らと同じキャンパスで学んでみたいと思うようになりました。また,途上国とされる国々では環境問題をどう扱っているのか自身の目で見てくることも期待し,留学を決めました。さらに私の学科は3年後期に必修の授業がほとんどないので,週に数コマ取ってダラダラ過ごすくらいなら留学してちょっと大変でもいろいろ得て帰ってきたいという気持ちも少なからずありました。


それぞれ魅力のある東南アジアの国々からフィリピンを留学先に選んだ理由は、まず「一度も行ったことのない国に行ってみたかった」から。誠に失礼ながら観光でタイやインドネシア,マレーシアには行きたいけど、フィリピンに観光に行くことはないのかな~と派遣前は思っていました。それくらい私にとっては未知の国でした。加えて重要なポイントはUPLBではすべての授業が英語で(実際一部例外ありでしたが笑)受けられる点!つまり「あなたは留学生だから現地語開講のこの授業は受けられません」ということがないのです。これは私にとって魅力的でした。最終的に決め手となったのは過去にUPLBへ派遣され、自身の体験談を話す先輩たちがなぜかものすごくイキイキして見えたことでした。



留学準備

留学を意識し始めてから私が準備した特筆すべきことを以下にまとめます。


農工大での必修単位を計画的に取得

説明会への参加:手続きのあれこれや奨学金の条件などの情報が収集でき、先輩方の本音の体験談が聞けます。

過去の派遣生、GIOの先生にあれこれ質問:情報収集ほんとに大事です

SIMフリー携帯端末の購入:フィリピンならこれとっても便利だと思います

予防接種:実習もあるしどんな場所に行くことになるか分からないので高いからってケチらず受けましょう。(笑)

現地のコーディネーターと事前に連絡


既に準備段階でも留学がなければ知り得なかった様々なことを学べたし、情報を得るために大学の事務の方々、AIMSに関わる学科内外の先生方、過去の先輩、他の学科のAIMS同期の仲間など自分のコミュニティを広げることができました。さらに人への依頼の仕方も以前より上手くなったように思います(完全なる自己評価ですが)。これらは留学による大きな成果だと思っています。



予想外連発の留学生活

ある程度覚悟はしていましたが実際現地に行ってみるとよくも悪くも予想外のことがたくさんありました。


まず食生活について。食堂で野菜のおかずがたくさんあったこと。毎日揚げ物しか食べず、顔はニキビだらけの生活を想像していたので思ったよりまともな食生活が送れてよかったと思います(笑)。


次に言語について。フィリピンはアメリカに統治されていた歴史もあり、英語はほぼ公用語というイメージがありましたが、フィリピン人の感覚では「英語は学校できちんと話すときに使うもの。私たちの言葉はフィリピノ語(又は各出身地の言葉)。」のようです。実際クラスメイトの中には「あなたと話しているとずっと英語だから疲れる」と言ってくる人もいて驚きました。周りで話されている言葉が分からず、授業でも少し困ることはありましたが、せっかくフィリピンに来たので現地の言葉も少しは学べてよかったです。


通信事情について。UPLBは大学内に山があるせいか電波が悪いです。大雨が降ると繋がりが悪く、不便なこともありましたが,少しずつコツを覚えて現地のSIMカードを使いこなすまではいかなくとも何となく仕組みを理解できるようにはなりました。また、住んでいた寮のwifi環境はあまり良くなかったのでじっくり調べものをしたいときは図書館を使うことが多かったです。



フィリピン留学

フィリピン料理は辛くない。(笑)


授業

UPLBの授業の良いところは授業を聞くだけでなく学生が実際に手を動かして学べるところです。アグロフォレストリーの基礎を学ぶ授業では実際に大学内の山に畑を作ってそこでグループごとに試行錯誤しながら好きな作物を育てる、という実習がありました。また、森林菌類学の授業では山の中でキノコ採集をして子嚢菌と担子菌の違いを確認したり、種の同定に挑戦したりしました。


また、グループや個人で発表をする機会が多く、緊張する間もなく次の課題が出されるのでプレゼンという行動に対するハードルが下がったように思います。このような活動の中でクラスメイトと共同で行う作業が多く、自然と積極性が求められました。一つの学期で取れる科目数は農工大のように多くありませんが一つの授業から広範囲の知識や技術が得られたのがよかったです。



農工大留学

林学基礎の授業での林産物を利用した食べ物の展示会。学生が主体的になれるような授業の仕掛けが多く、面白かった。


アグロフォレストリーの実習で作った土砂をせき止める仕組み。材料の竹棒も学内に生えていた竹を切り出して作製。




留学から得られることって?

AIMS派遣学生にはもちろん授業を受け、指定された単位を取得する、というミッションが課されているわけですが、正直そこで得られる知識そのものは日本国内にいてもネットで少し調べれば得られる可能性が高いです。しかし、それでもなぜあえて時間とエネルギーを投じて留学という選択肢を選ぶのか。それは留学を通して知識以外に得られる新たな視点なり価値観なりがあるからなのではないかと思っています。


私は以前2時間もかけて選挙のためだけに地元に帰るのは面倒なこと、と思っていました。しかし、フィリピンの友人にその話をしたら「そうやって言い訳して!」と怒られ、ハッとしたのを憶えています。彼らはたとえ地元がバスで6時間離れたところにあっても選挙のために帰省するのです。例え授業期間中でも。もちろん私の1票が政治を変えられるとは思っていないし、若者の票が集まれば政治が変わる、と啓蒙するつもりもありません。しかし少なくとも国の政策に対し文句を言う前にきちんと投票する人でありたい、と思うようになりました。


また,今回の留学の目的であった「途上国における環境問題への姿勢を見てくる」については留学前後でかなり考え方が変わりました。留学前の私は単純に途上国の環境問題に対する意識は低く,先進国は支援する立場にある、と考えていました。しかし、実際に現地に行ってみてプラスチック汚染への意識がかなり高いことに驚きました。日本ではレジ袋の有料化が広まってきたところですが、私が留学した大学がある自治体ではプラスチックストロー及びレジ袋の配布が禁止されていました。紙ストローの在庫が切れたジューススタンドのおばちゃんが後ろめたそうに「これは秘密よ」って言ってプラスチックのストローを渡してきたのは非常に印象深い思い出です。


他にもこのような気づきや学びが様々ありましたが、これらは留学前には学ぶ予定も予想もしていなかったことです。行かなければ一生知らずに終わっていたかもしれません。このような予定外の学びこそ留学の醍醐味なのではないかと思います。



まとめ

私は幸運にも幼いころから父の転勤や家族旅行など海外へ行く機会に比較的恵まれていたのである程度国外のことも知っているつもりでした。それでもこの留学はこれほど情報網の発達した現代でも外に出なければ分からないことがまだ多くあるということを教えてくれ、刺激の多いものでした。住み慣れた国を一定期間離れ、海外で学ぶことは今まで自分がやってきたこと、無意識に信じてきたことを一度立ち止まって吟味できるチャンスだと思います。留学を考えるうえで様々な不安はつきものですが、留学をきっかけに準備期間も含め多方面から成長の機会を得られるということは自信を持って言えます!


農工大留学

留学に少しでも興味があるなら単なる興味で終わらせず、OBOG、および留学担当の先生に話してみてください。きっとその興味が現実になるアドバイスがもらえるはずです!




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